ぽンすけ。ブログ

主に闘病記。タイトル【欠陥品】は病気の発症とされる時期(生い立ち)について。毎月末に【月詠み】として1ヶ月の軌跡をまとめています。他は思ったこと、言えないこと、言いきれない想いを綴ってます/⚠閲覧は自己責任

大切な人へ

 

 

全てを聞いてるわけではなかったけれど、

私は大切な人の原点である人の存在を

知っていた。

深夜に何気なく話は始まり。

彼が話す言葉を、想いを、零さないように。

私はただ。泣いていた。

 

当時の彼がそんな思いをしている頃。

私は私で初めて吸い寄せられるように

海へ入って自殺をしようとした頃だと

「何年前?」と聞いたときに分かった。

 

唯一の親友だと思ってた、

唯一の女友達が目の前で突然、

深く、何度もリストカットをするのを

目の当たりにしたときだった。

 

当時の私は愛情や友情、

そんなものは要らないと思っていた。

 

虐められても「ぬるい」としか思わず

「やるなら殺す気でこい」と思っていた。

ただ、笑ってバカを演じていればいい。

生きる価値もなく、ただ立ってるだけだと。

自分に常に言っていた。

 

母親からの暴力。

帰ってこない父親。

私に「死ね」と毎日首を絞める兄。

 

完全に私の心は腐っていた。

 

それを受け入れてくれた唯一の存在。

 

なんでも分かってると思ってた。

高校在学中にアルバイト先で出会い、

お互いの家庭環境を知り、支え合い、

歌が上手くてギターを弾く彼女と

一緒に歌を唄ったり。

2人で「どんな自殺が少ない迷惑で済むか」と

話し合ったり。

母親がいない隙に彼女を家に上げて

まだメジャーじゃなかったバンドを聞かせて

意気投合したり。

 

そいつがいれば楽しかった。

そいつと何度も一緒に泣いた。

 

 

でも、彼女が出した答えは

私に打ち明けるわけでもなく。

もうギターが弾けなくなるほどの傷を

背負うことだった。

 

その光景を見た瞬間に

私は壊れた。

元々腐っていた。

それを彼女が支えて何とか繋いでいた何か。

それが一瞬にして壊れてしまった。

 

 

そのまま、私は海へ向かっていた。

『思い上がりだった』

『やっぱり私に価値はない』

『なんで何も言ってくれなかったんだ』

『なにを見てきたんだ』と。

 

それしか考えてなかったと思う。

 

彼女の傷の手当にアタフタしていた、

他に一緒にいた2人の内の1人が

私に気づいて砂浜を走ってきた。

砂だらけになりながら、私を殴った。

 

私は笑った。

 

「逝かせてくれ」と。

 

私が抱えているものを知っているのは

彼女だけだった。

他の仲間は知らなかった。

 

「なんで何も言わねーんだ!!」

その人は泣きながら

何度も私の肩を掴んで離さなかった。

 

『なんでお前が泣くんだ』と。

『なんでお前が必死になるんだ』と。

 

私はようやく、我に返った。

私は救われた側の人間なのだ。

 

 

それと同じ頃、

全く別の場所で、

5つも離れた歳、

交じり合えないはずのところで。

彼が救えなかった事実。

 

その頃の私は彼の住んでる近くに

仕事で行っていたにも関わらず。

出会えなかったまだ小さな命。

 

『私さえいれば』と。

彼の話を聞きながら思っていた。

 

『どうしてその時に出会わせてくれなかったのか』と。

 

でも今はこう思う。

 

あれから時が過ぎ、

色んなことから這い上がってきた。

愛情を教えてくれた出会いがあって、

私はようやく人間になった。

 

腐ったままの当時の私と出会っていても

きっと何も出来なかったと。

 

今だから分かること。

乗り越えてきたからこそ見えること。

 

今は彼の言葉に救われている。

 

でも本当は。

 

『彼を生かさなきゃ』と思っている。

 

何度も命を絶とうとした。

けど、浮かぶのは彼の存在だった。

 

『彼が生きるために私は生きたい』と。

 

 

彼が笑えば、私は嬉しい。

彼の言葉で、私は救われる。

 

私に出来ることなんて、きっとない。

 

それでも。

『彼を守る方法』を考える。

 

それが「生きる 」ことならば

生きて、笑い合いたい。

 

泣いてでも笑っていたい。

 

それは昔のように演じるのではない。

 

『彼を笑顔にしたい』

その想いだけだ。

 

無理して笑うことなんて、

彼の前では通用しないと分かっているから。

 

 

また別のかたちで、

私は大切なものを失っている。

 

それは私の意志で。

小さな、まだかたちにすらなってない命を

この手から手放した。

 

 

かたちは違えど、

失うことの辛さ、悔しさ、未熟さ。

共に生きていく感情。

 

だからこそ、

私は守りたい。

 

共に生きていく感情は、

Minatoに対してだけで充分だ。

 

共に歩んでいく感情。

それは『彼の笑顔を守る』こと。

 

 

這い上がれ。

彼を守りたいのなら。

 

立ち上がれ。

自分の足で歩きたいのなら。

 

その足で

彼の笑顔に会いに行こう。

 

 

別の場所で生きて

歳も違う、

決して交じり合えないはずだった。

それが今、交じり合えたなら。

 

 

私は離さない。