ぽンすけ。ブログ

主に闘病記。タイトル【欠陥品】は病気の発症とされる時期(生い立ち)について。毎月末に【月詠み】として1ヶ月の軌跡をまとめています。他は思ったこと、言えないこと、言いきれない想いを綴ってます/⚠閲覧は自己責任

夢風船

 

 

僕を作り出した人は

僕に空気を吹き込んでくれた。

だから僕は

空高くフワフワと

大好きな空を泳いでいられると

そう思っていた。

 

色もない風船。

 

繋がれた短い紐。

 

フワフワと泳いでいると思っていた場所は

狭く

小さな世界。

 

僕は自由に飛びたかった。

もっと広いところへ。

 

大きく膨らんだ風船は

いつしか紐を千切り

 

ようやく空へ舞い上がった。

 

 

はずだった。

 

 

でも。

 

 

空の漂い方を知らないその風船は

小さな木に引っかかる。

 

今度はそれを。

 

 

新たな紐で繋がれた。

 

 

自分が何色であるかも

分からないまま。

 

 

最初に繋がれた紐よりも

長い紐で繋がれた。

 

 

だから。

少しだけだけど、

前よりも空が見えたんだ。

 

 

それでも。

どこにも行かないように

手繰り寄せられる。

 

 

鎖のように。

 

 

その風船は。僕は。

自ら弾けることを決めた。

 

 

自分の色を知りたかった。

他に方法がないのなら。

 

弾けて

散っていく。

 

それしかなかった。

 

 

 

散った風船の欠片を

たくさんの人が拾い集めた。

 

 

『黄色にする?』

『青もいいんじゃない?』

 

いろんな声がする。

 

 

継ぎ接ぎの風船は

たくさんの色を知った。

 

 

空や海と同じ青。

星のような黄色。

草原のような緑。

 

何にも染まらない黒。

 

 

たくさんの人の思いを重ね

たくさんの希望を込められた、

まだ小さなその風船。

 

 

『ここからは自分で大きくなるんだよ?』

『迷ったら戻っておいで』

『どこにだって僕らはいるよ』

 

『自由に』

『飛んでいけ』

 

 

そんな声が聞こえた。

 

 

舞い上がれるのだろうか。

どこまでも高く。

どこまでも自由に。

 

 

弾けたら

また拾い集めてくれる?

 

僕にはそれはできないから。

 

 

吹き込んでくれるかな、空気を。

 

 

間違えないかな?飛び方を。

 

 

 

だけど。

きみたちのいない世界ヘ

行ってしまったら。

 

 

僕はまた。

弾けることを選ぶよ。

 

 

そのときは。

拾い集めなくていい。

 

 

どこかで見つけたら持っていて欲しい。

 

僕の欠片を。

 

 

 

僕が見つけに行くよ。

 

 

そしたら僕は。こう言うよ。

 

 

【もう、飛びたくないんだ】と。

 

 

 

 

そのときは。

僕の願いを聞いてほしい。

 

 

 

僕は。

もう、風船にはなりたくない。

 

 

きみたちの夢を叶えるための

光になりたいんだ。

 

 

 

聞いてくれるかい?

僕の願い。

 

 

僕は。

 

 

本当はあるはずもなかった、

きみたちの夢風船。