ぽンすけ。ブログ

主に闘病記。タイトル【欠陥品】は病気の発症とされる時期(生い立ち)について。毎月末に【月詠み】として1ヶ月の軌跡をまとめています。他は思ったこと、言えないこと、言いきれない想いを綴ってます/⚠閲覧は自己責任

唯一の存在

 

 

目が覚めたのは

誰かに呼ばれた気がしたから。

 

朦朧とした意識の中で

その声の主は分からなかったけど。

 

確かに。

『まだだ』って言われたんだ。

 

 

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15年以上、

会うことを許されなかった親戚。

母の弟〈叔父〉だ。

 

わざわざ

会いに来てくれた。

 

「よっ!!」と言って

変わらぬ笑顔を見せてくれた。

 

ファミレスに入る時、

私の隣を歩く叔父。

15年前よりも小さく見えた。

でも叔父は

「相変わらずチビだな!」と笑った。

 

『かっちゃんだって変わんない!』と。

昔のように笑った。

 

 

叔父はすぐ、本題に入る。

 

『なんで死のうとした?』

 

単刀直入だった。

 

『疲れたか?』

 

私は首を横に振る。

 

 

実はこの1週間、

ずっと自殺を試みていたこと。

自分を見失ってしまったこと。

母の夢に魘されること。

 

フラッシュバックを繰り返して

自分が誰なのかも

どこにいるのかも

分からない状態が続いていたこと。

 

笑って

何事も無かったように振る舞うことが

もう、出来なくなったこと。

 

全てを話した。

 

 

旦那である、彼の存在も。

 

 

叔父は

『そこまで追い詰められてたのか』と

最初は言っていた。

 

 

叔父からすれば私の母は姉。

 

『ねぇちゃんはそうゆう人だからな』と。

 

『風船みたいに紐を握ることでしか

我が子を守る方法が分からなかったんだろ』

 

『ねぇちゃんがそうだったからな』と。

 

叔父は実の姉として母を分析した。

 

『だからと言って我が子に同じことを

していいってわけじゃねーからな』と。

 

 

そして、彼のことを話すと

叔父は呆れ返っていた。

 

『お前が半分借金を抱える必要が

どこにあるんだ』と。

 

『納得しないなら、俺が話をつける』と。

 

『自由に生きていいんだ』

『好きなことに夢中になれ』

『お前を助けようとした友達がいるだろ』

 

『俺からすれば大事な姪っ子なんだ』と。

 

 

叔父は昔からそうだった。

 

 

母と喧嘩する理由はいつも、

私たち兄妹のことを守るために

母に言い寄っていた。

 

『ねぇちゃんが面倒みないなら

俺が2人まとめて面倒見る』とまで。

 

そんな叔父の言葉に母は激怒し

縁を切らざるを得なかった。

 

たった10分くらいの距離に住んでいたのに。

私たち兄妹は助けを求められなかった。

 

『その環境を作ってやれなかった』と。

叔父は自分を責めていた。

 

 

叔父が悪いわけじゃないのに。

 

 

そして、こう言った。

『これからは頼ってくれ』と。

 

『守らせてくれ』と。

 

 

もう、私に家族はいないと思ってた。

 

これからも。今までも。

 

 

それでも叔父の目に映る私は

当時と変わらず『大事な姪っ子』だった。

 

 

少し小さくなった叔父。

それでも。

目がクシャッとなる笑顔。

落ち着く優しい声。

 

 

私は叔父が大好きだった。

 

 

これからも。

 

 

唯一の存在。

 

 

唯一の家族。