10年目
ここに綴る想いはいつも同じだ。
悔いても悔やみきれない過ちと
何をしても満たされない虚無感と
前を向いては真っ暗になる孤独
これからも
消えることはないと思っている。
消したくないと思っている。
この気持ちと一緒に生きていく。
10年前、そう誓った。
あの頃より
前を向いて歩くようになった。
それでも
秋の始まりからゆっくりと
足元は
黒く覆われていく。
進もうとする足を引き止めるように
暗闇の中へ引き摺り込むその影は
今か今かと息を潜めている。
“おはよう”
そう声をかける。
眠りから覚めたその影を出迎える。
“おやすみ”
そう見送って
今年も君だけが眠りについてほしいと願う。
ーどうか君と仲良く歩けますようにー
影の中へ連れていくのではなく
私の歩みについてきてほしい。
10年目にして
初めてそう思っている。
立ち止まれば
呑み込まれる。
まだそっちには行けないんだ。
だから
歩き続ける。
君のことを想いながら過ごす
愛しくて
虚しい
そんな秋の始まりに。
私は今年も君を見上げ
君を探す。
“おかえり”
1度も言えなかった言葉と共に。