ぽンすけ。ブログ

主に闘病記。タイトル【欠陥品】は病気の発症とされる時期(生い立ち)について。毎月末に【月詠み】として1ヶ月の軌跡をまとめています。他は思ったこと、言えないこと、言いきれない想いを綴ってます/⚠閲覧は自己責任

私から私へ

奥にひとつ、3畳の部屋

いつも暗かった

いつだって私しかいないその檻

濡れた髪を撫でる優しい母の手を

いつまでも待っていた

偽りの優しさだと知っていても

 

届かなかった声

小さな窓

走り回る子供たちの笑顔

いつだって眩しくて

届かない向こう側に手を伸ばしていた

 

置いてきた小さな手

今でも空に伸ばすその手を

今は

 

飛び出そう

その暗闇を越えていけ

走れるよ

あの頃の子供たちのように

届かなかった壊せなかったその檻は

私が壊すよ

あの頃の私へ

もう…待たなくていいよ

 

 

角にひとつ、6畳の部屋

いつも逃げ込んだ

息を潜めていれば生きていけると

広くなった、景色が変わっても檻の中

笑顔の仮面を描いた

偽りの「家族」を演じるために

 

叶わなかった願い

温かいご飯

家々に灯る優しい光たち

いつだって眩しくて

涙の数だけ赤い証を刻んで笑った

 

置いてきたんだ

下手くそな笑顔を被った私を

今なら

 

 

笑っていいんだ

その仮面を外してあげよう

走れるさ

何も知らなかったときのように

叶わなかった、壊された本物の私を

ちゃんと見つけたから

あの頃の私へ

もう…泣いていいよ

 

 

ありがとう

連れていけなくてごめんね

行かなくちゃ

あなた達が立ち上がれるように

その檻から出られるように

そんなことしか出来ないけれど

置いていくんじゃない

託していくよ

また会いに来てくれるかな?

あの頃の私へ

「生きてくれてありがとう」

 

 

                                      ーPoNskー